トレンディドラマ
1980年代後半、東京そのものが舞台装置になった時期があります。おしゃれな職業、明るいマンション、レストランの会話。物語の中身より先に、暮らしの見え方を見せるドラマでした。
この帯を調べていて、いちばん面白かったのは「枠」の話です。トレンディドラマといえばフジテレビの月9、という言い方が広く通っています。ところが起点によく挙がる『男女7人夏物語』(1986)はTBSの金曜21時。フジが月曜21時にドラマ枠を戻したのは1987年4月で、しかもこれは新設ではなく復活でした(1962年から1980年まで同じ時間にドラマ枠があり、六年半ほど空いています)。その第1作『アナウンサーぷっつん物語』は、まだ業界ものです。
月9がこの空気の顔になるのは、1988年1月の『君の瞳をタイホする!』から。そして同じ1988年の『抱きしめたい!』は月9ではなく、木曜22時の「ナショナル木曜劇場」でした。呼び名のほうが先に有名になって、枠の記憶があとから引き寄せられたのだと思います。憶えまちがいというより、言葉が強かったということでしょう。
1990年の『すてきな片想い』のあたりから、作り手の側は路線の呼び方を変えていきます。この帯の続きは次の節(→月9と恋愛ドラマ)です。そこで、枠の名前がジャンルの名前になるところまで行きます。
神話の訂正
トレンディドラマはフジテレビの月9から始まった
月9がこの空気の顔になったのは本当です。ただし起点によく挙がる『男女7人夏物語』(1986)はフジではなくTBS、枠も金曜21時でした。フジが月曜21時にドラマを戻したのは1987年4月で、その第1作『アナウンサーぷっつん物語』はまだ業界ものです。月9がトレンディの側へ振れるのは1988年1月の『君の瞳をタイホする!』から。さらに『抱きしめたい!』(1988)は月9ではなく木曜22時の「ナショナル木曜劇場」でした。ついでに言えば木曜劇場は木曜21時ではなく22時の枠です(1984年10月開始)。呼び名のほうが先に有名になって、枠の記憶があとから引き寄せられたのだと思います。