大河ドラマ
1963年の『花の生涯』から、日曜の夜に一年かけて一人の生涯を描く形式が始まりました。原則として一年に一作、一回45分、年間50回前後。2026年の作品で第65作になります。
数字の頂点は1960年代から80年代にありました。一話の視聴率でいちばん高いのは『赤穂浪士』(1964年度)の53.0%。作品を通した平均でいちばん高いのは『独眼竜政宗』(1987年度)の39.7%です。半年から一年、毎週日曜の夜に四割の家がついている——いまでは想像しにくい風景です。
では大河は落ちたのか、というと、そう単純でもありません。この地図が何度も出会っているとおり、変わったのは数え方のほうでもあります。ビデオリサーチの表を見ると、2020年度以降の作品には世帯視聴率と個人視聴率が並んで載るようになりました。『鎌倉殿の13人』(2022年度)は世帯の期間平均12.7%、個人では7.6%。同じ番組を、二つのものさしで測っている状態です。しかも1988年以前と1989年以降では、期間平均の計算方法そのものが違うと同社が明記しています。歴代のランキングは、厳密な比較というより地層の記録として読むのがよさそうです。
この形式のいちばん面白いところは、同じ歴史が何度も書き直されることだと思います。戦国も幕末も、何十年かおきに別の書き手が別の主役で語り直す。三谷幸喜は『新選組!』(2004)『真田丸』(2016)『鎌倉殿の13人』(2022)の三作で、群像劇と喜劇の呼吸を歴史に持ち込みました。2024年の『光る君へ』は合戦のない平安の宮廷を選んでいます。何を主役にするかで、同じ国の歴史がまるごと違って見える。年に一度、それを試せる場所がこの帯です。
ちなみに一年一作は完全な連続記録ではありません。1993年から94年にかけて、半年から九か月の単位に分けられた時期があり、1995年に一年一作へ戻っています。