語り部と千夜一夜
連続ドラマのいちばん古い発明は、物語を途中で切ることでした。
『千夜一夜物語』の枠物語では、王が毎晩新しい妻を迎えては翌朝に殺してしまいます。志願したシャフラザードは、夜ごと物語を語り、夜明けにその途中で語りをやめる。続きが聞きたい王は、処刑を翌日へ延ばす。それが千と一夜つづきました。
つまりこの物語のなかでは、語ることがそのまま生きることです。クリフハンガーは緊張をつくる技法である前に、命綱でした。テレビが毎週の終わりに謎を残すとき、やっていることの形は、たぶんこれと同じです。