刑事アクションの時代
『太陽にほえろ!』は1972年から1986年まで、全718話つづきました。舞台は七曲署の捜査第一係。この番組がしたのは、刑事を「職業」ではなく「青春」にしたことです。
仕組みが二つありました。ひとつは愛称制。新しく入ってくる若手刑事には、外見や口ぐせから渾名がつきます——マカロニ、ジーパン、テキサス、ボン、ロッキー。役名ではなく渾名で呼ばれることで、観る人は最初から身内のような距離で見はじめます。
もうひとつが殉職です。若手刑事は物語を重ねたあと、多くが殉職して退場しました。円満に異動していく刑事はごく少数です。毎週来ていた人が、ある回で帰ってこなくなる。これはアクションの見せ場である以上に、視聴者に「別れ」を体験させる装置でした。連続ドラマがまだ「毎週おなじ」を守っていた時代に、この番組だけは人が減っていったのです。
刑事ドラマは日本でいちばん層の厚い水脈になりますが、その最初の土は、走る若者と、その別れでできていました。