Netflixと世界化
2021年の秋、Netflixの株主向けレターに「わたしたちの史上最大の番組になった」と書かれた作品があります。『イカゲーム』。公開から四週間で1億4,200万の世帯が観て、94の国で1位になった、と。英語で作られていない連続劇が世界の頂点に立ったのは、テレビの歴史でこれが最初でした。
ただし、この作品は突然生まれたわけではありません。監督のファン・ドンヒョクは、企画をずっと前から温めていました。彼が世界的なヒットの理由を聞かれたときの答えが、この帯のいちばん重いところです——「なぜこれほど流行ったのかと聞かれると、世界がこのドラマに描かれたのと同じくらい厳しくなったからではないか、とよく答えてきました。だからみんな、あれほど共感できたのだと思います」。そして三年後、彼はこう続けています。「あれから三年が経ったが、世界がよくなったとは思わない」。
土台も長くありました。2000年代の第一波(→韓流第一波)のあと、ケーブル局が作家主義的な作品を出しはじめ、そこにNetflixの資本と流通が重なります。この帯の面白さは、輸出のために作られたのではないことです。国内の観客に向けて濃く作ったものが、そのまま世界で通じた。字幕と吹替の壁が薄くなった時代に、いちばん強かったのは「その国のことを、その国の言葉で、まっすぐ書いた作品」でした。
日本の配信ドラマ(→配信の日本ドラマ)が世界同時公開を選ぶようになったのは、この帯が先に道をつけたからです。