社会派医療の原点
山崎豊子『白い巨塔』は1963年から『サンデー毎日』で連載されました。版元の紹介文が、この作品の中身を短く言い当てています——癌の検査と手術、泥沼の教授選、誤診裁判を綿密にとらえ、尊厳であるべき医学界に渦巻く人間の欲望と打算を描く、と。
つまりここで診られているのは、患者の体ではなく組織です。教授選という言葉が出てくる医療ドラマは、それだけで「これは人事の話だ」と宣言しているようなものでした。
この作品は繰り返し映像化されています。1965年のラジオドラマから、1966年の映画、1967年・1978年・2003年のテレビ、2019年のスペシャル、そして2007年には韓国でも作られました。同じ物語が世代ごとに撮り直されるのは大河(→大河ドラマ)と同じ現象で、そのたびに「いまの組織」の姿が更新されていきます。