朝の連続テレビ小説
1961年4月3日、『娘と私』が始まりました。毎朝の連続劇という形は、そこから六十年以上つづいています。ちなみに第1作は20分番組で、15分になったのは翌年の第2作からでした。
この形式のすごさは、視聴率の桁に出ています。『おしん』(1983年度)の最高は62.9%(ビデオリサーチ調べ・関東地区・世帯・番組平均)。上には旅路56.9%、おはなはん56.4%、あしたこそ55.5%、澪つくし55.3%が並びます。半年から一年、毎朝15分ずつ。合計すればとんでもない時間を、同じ人たちと過ごすことになります。
そしてこれが、この地図でいちばん静かな逆転を生んでいます。日本のドラマの視聴率を語るとき、たいてい引き合いに出されるのは夜のドラマの数字です。ところが視聴率の表そのものを見ると、朝ドラは別枠で集計されていて、平成のあいだにも42%を超える作品がいくつも並んでいる(→日曜劇場と組織の逆襲の「神話の訂正」)。派手な祝祭のほうが記憶に残りますが、数字の上ではずっと、朝のほうが上にいました。
形式も進化しています。2010年に始まったNHK『あさイチ』では、朝ドラが終わった直後にキャスターがその日の内容に触れる——「朝ドラ受け」と呼ばれる慣習が自然発生しました。制作統括によれば「最初は『びっくりしましたね』とか本当に一言くらい」だったそうです。ひとりで観ている人にも、みんなで観ている気分になってほしい。放送のあとに小さな余韻の場所を作ったことで、この15分は番組の外へはみ出しました。
2013年の『あまちゃん』は、その最も賑やかな例です。「じぇじぇじぇ」はその年の新語・流行語大賞の年間大賞になりました——同じ年、同じ舞台に「倍返し」も立っています(→日曜劇場と組織の逆襲)。朝と日曜の夜が、同じ年に国民の言葉を二つ出した年でした。